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YouTube 動画制作の外注管理|工程・ボール・開示範囲の決め方

複数の外注先で YouTube 動画を作るときの管理は、費用や外注先探しより先に「工程」「ボール(誰の番か)」「情報開示範囲」の 3 つを決めると安定します。進捗はチャットのやり取りではなく、企画 × 工程の 1 枚で追います。この記事では、3 つの決め方と、そのまま使えるチェックリスト 2 つ(情報開示範囲・発注時に決める項目)を示します。

対象は、外部の編集者・台本ライター・サムネデザイナーを 3 名以上使い、月 8〜20 本を回しているチャンネル運営者です。外注の費用相場や外注先の探し方は扱いません。契約後に進行をどう回すかに絞ります。

外注先が増えるほど「次、誰の番か」が見えなくなる

外注先が 1 人のうちは、DM の履歴をさかのぼれば今の状態が分かります。編集者・ディレクターが 3 人を超え、月 8 本以上を回し始めると状況が変わります。DM とスレッドに散った「送りました」「確認します」から今の状態を復元する作業が、運営者の毎週の仕事になります。問題は「連絡が少ない」ことではなく、状態を置く場所が決まっていないことです。

進捗が DM とスレッドに散る

依頼は DM、納品はスレッド、修正指示は通話のメモ、という置き方をすると、1 本の動画の状態が 3 か所に分かれます。企画が 10 本並ぶと、運営者は 30 か所を見て回ることになります。動画ごとに「今どの作業で止まっているか」を 1 か所で読める形が必要です。

「誰の番か」が曖昧だと作業が止まる

編集者が「納品しました」と書いた後、運営者が確認するまでの時間は、誰の担当でもない空白になりがちです。レビュー待ちなのか差し戻し中なのかが分からないと、編集者は次の企画に進んでよいか判断できません。「誰の番か」を状態そのものに含めると、この空白が消えます。

見せてよい情報の線引きが無いと、共有内容がぶれる

外注先ごとに「この人にはチャンネル名を伝えた」「この人には他の企画も見せた」と共有内容が違うと、あとで管理できません。単価や他メンバーの連絡先まで見えてしまう共有の仕方は、トラブルの元になります。線引きは外注先を増やす前に決めておくものです。

工程を先に決める:企画 × 工程で進行を 1 枚にする

工程とは、1 本の動画を作るときに順番に通る作業段階のことです。工程を先に決めると、「誰に何を頼むか」と「今どこで止まっているか」が同じ枠で表せます。1 企画(= 1 動画)を行、工程を列にして並べれば、月 20 本でも 1 枚で見渡せます。

工程の分け方

基本は「企画・構成」「台本」「編集」「サムネイル」の 4 工程です。チームの流れに合わせて「撮影」「BGM」「最終確認」を足します。分け方の目安は次の 2 つです。

工程を細かくしすぎると更新の手間が増えます。担当者と確認者が同じ連続した作業は、1 工程にまとめて構いません。

工程ごとに標準リードタイム(日数)を持たせる

各工程に「通常なら何日で終わるか」の目安を持たせます。たとえば、企画・構成 3 日、台本 5 日、編集 7 日、サムネイル 3 日のように置きます。公開日から逆算して各工程の納品日を決めるときと、遅れている工程を見つけるときの基準になります。日数はチームの実績に合わせて調整します。

1 企画 = 1 動画を行、工程を列にして並べる

企画を行、工程を列にした表(マトリクス)を 1 枚作り、各セルに「状態」と「担当者」を書きます。これが進行管理の正本になります。チャットは相談や補足に使い、状態の更新はこの表でだけ行うと決めます。表の置き場は、スプレッドシートでも専用ツールでも構いません。重要なのは「状態を置く場所が 1 つ」であることです。

「誰の番か」をステータスに埋め込む

ステータスとは、工程の今の状態を表すラベルのことです。ここに「誰の番か」(ボール)を含めておくと、状態を見るだけで次に動く人が分かります。連絡頻度を細かく決めるより、この設計のほうが効きます。

5 つのステータスとボール持ち

ステータスは次の 5 つで足ります。各ステータスに、誰の番か(ボール持ち)を固定します。

ステータスボール持ち意味
未着手担当者着手前。担当者が始めるのを待っている
作業中担当者担当者が作業している
レビュー待ちレビュアー成果物を提出し、確認を待っている
差し戻し担当者確認で修正が必要と判断され、担当者に戻っている
完了なし確認が終わり、次の工程へ渡せる

「レビュー待ち」だけボールがレビュアーにあり、それ以外は担当者か誰でもないかのどちらかです。この対応を決めておけば、「納品しました」の後の空白が「レビュー待ち = 運営者の番」として見えます。

工程ごとにレビュアーを決める

工程ごとに「誰が確認するか」を 1 人決めます。台本は運営者、編集はディレクター、サムネイルは運営者、のように工程単位で固定します。確認者を決めていないと、レビュー待ちの状態にしても誰も動きません。

差し戻しは、その工程の担当者に戻すのが原則です。「台本の差し戻しを編集者が受ける」のような飛び越しは、責任の所在が消えるので避けます。修正回数の上限は、この差し戻しの回数として発注時に合意しておきます(後述のチェックリスト参照)。

連絡頻度を決める代わりに「ステータス変更 = 進捗報告」にする

外注先との連絡頻度を細かく決めるより、「ステータスを変えたら報告したことになる」と合意するほうが、双方の負担が減ります。編集者は作業を始めたら「作業中」、提出したら「レビュー待ち」に変えるだけで、報告文を書く必要がありません。運営者は表を見れば、進捗報告が無いまま編集が進んでいる不安も解消します。

定例の打ち合わせは、例外だけを扱う場に変えます。具体的には、標準リードタイムを超えて止まっている工程と、差し戻しが 2 回以上続いている工程だけを話します。順調な企画は表を見れば分かるので、口頭で確認しません。

外注先と最初に決めること:情報開示範囲と取引条件

工程とステータスが決まったら、外注先ごとに「何を見せるか」と「取引条件」を最初に決めます。どちらも後から変えるほうが手間なので、招待や発注の前に済ませます。

情報開示範囲チェックリスト

外注先(外部の編集者・台本ライター・サムネデザイナー)に見せる情報と見せない情報を、項目ごとに決めます。原則は「担当工程の作業に必要な情報だけを見せる」です。

項目見せる / 見せない理由
担当する工程の作業内容・納品日見せる作業に必須
同じ企画の他工程の名前・状態・順序見せる自分の前後にどの作業があるかは分かったほうが進みやすい
同じ企画の他工程の詳細メモ・成果物担当者ごとに判断台本の全文が編集に必要なら渡す。それ以外は渡さない
企画の詳細メモ(ネタ元・参考リンク)見せない作業に不要な内部情報が混ざりやすい
自分が関与しない他の企画見せないチャンネルの今後の企画が漏れる
他メンバーの一覧・連絡先見せない外注先どうしの直接連絡や、連絡先の流出を防ぐ
単価・支払い条件(他の人の分)見せない本人の分だけを本人に伝える
チャンネル名・公開 URL契約時に判断公開後の動画で分かる場合が多い。契約前に伝えるかは NDA の有無で決める
素材の置き場(共有フォルダ)担当工程分だけ見せる企画ごと・工程ごとにフォルダを分けておく

「担当者ごとに判断」「契約時に判断」の項目は、判断した結果を発注書か合意メモに書いて残します。口頭で決めたままにすると、外注先ごとに条件がぶれます。

発注時に書面で決める項目チェックリスト

発注のたびに、次の項目を書面か電子的な方法(メール・チャット)で外注先に示します。「口約束」で始めると、修正回数や納期の認識がずれたときに戻る先がありません。

項目書く内容の例
発注者と受注者の名称双方を識別できる名称(ビジネスネーム可)
発注日業務委託に合意した日
業務内容「企画 A の編集(尺 10 分、テロップ・BGM 込み)」のように工程と仕様を書く
納期・納品場所納品日と、納品先(共有フォルダの URL など)
検査完了日(確認する場合)レビューを終える期日
報酬額・支払期日金額(算定方法でも可)と、具体的な支払日
修正回数差し戻しの上限回数と、超えた場合の扱い
素材の受け渡し素材の置き場、受け渡し方法、返却・削除のタイミング
成果物の権利成果物の権利の扱い(著作権の帰属や利用範囲)。金額に含めるかも書く

修正回数・素材の受け渡し・成果物の権利は、法律上の必須項目ではなく、動画制作でトラブルになりやすいため加えている項目です。成果物の権利については、内容に不安があれば専門家に確認してください。

フリーランスに発注する場合は取引条件の明示が求められる

フリーランス・事業者間取引適正化等法の正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」です。この法律では、フリーランスに業務委託をした場合、直ちに取引条件を書面または電磁的方法で明示することが発注事業者の義務とされています。公正取引委員会のパンフレットでは、明示しなければならない事項として次の 8 項目が示されています。

  1. 業務委託事業者および特定受託事業者の名称
  2. 業務委託をした日
  3. 特定受託事業者の給付の内容
  4. 給付を受領または役務の提供を受ける期日
  5. 給付を受領または役務の提供を受ける場所
  6. 給付の内容について検査する場合は、検査を完了する期日
  7. 報酬の額および支払期日
  8. 金銭以外の方法で報酬を支払う場合は、支払方法に関すること

同パンフレットによると、6 と 8 は該当する取引の場合のみ必要です。明示の方法は書面か電磁的方法(電子メール、SNS のメッセージ、チャットツールなど)から発注事業者が選べます。上のチェックリストの前半はこの 8 項目に対応しています。誰が対象になるか、どの取引に適用されるかは取引の形態によって異なるため、公正取引委員会の特設サイトと一次資料で確認してください。この記事は法律の解釈や助言を行うものではありません。

ムビタスで回す場合の設定手順

ここまでの決め方は、スプレッドシートでも運用できます。ムビタスは、この「工程」「ボール」「開示範囲」をそのまま設定として持つ YouTube チーム向けの進行管理ツールです。以下は、上の決め方をムビタスで実装する手順です。

ワークシートを作り、工程テンプレートをチームの流れに合わせる

ワークシートとは、制作チームの入れ物です。まずワークシートを 1 つ作ります。作成時には「企画・構成(3 日)」「台本(5 日)」「編集(7 日)」「サムネイル(3 日)」の 4 工程が標準リードタイム付きで用意されます。工程はチームに合わせて定義でき、「撮影」「BGM」「最終確認」などを追加したり、順序を並べ替えたりできます。

ステータスは「未着手 / 作業中 / レビュー待ち / 差し戻し / 完了」の 5 つが既定です。それぞれにボール持ち(担当者 / レビュアー / なし)が設定されていて、前の節の表と同じ対応です。

外注先をワーカーとして招待リンクで招待し、担当工程を割り振る

外注先は「ワーカー」というロールで招待します。ロールを指定した招待リンク(7 日間有効・1 回使い捨て)を作り、普段使っているチャットで相手に送ります。相手が参加したら、オーナー(ワークシートの所有者)またはディレクター(制作全体を統括する管理者)が担当工程を割り振ります。

工程の範囲ごとに中間管理者を置きたい場合は「リーダー」のロールを使います。リーダーは全工程を閲覧でき、担当する工程の範囲だけを編集できます。「台本〜撮影」担当と「編集〜サムネ」担当のように分けられます。

企画を作ると企画 × 工程が自動生成される

企画(= 1 本の動画)を作ると、工程テンプレートから企画 × 工程のセル(担当者・レビュアー・ステータス・納品日)が自動で作られます。マトリクスビューでは行が企画、列が工程で、セルにステータスとアサイン者が表示されます。

「自分のボール」フィルタを使うと、今自分が動くべき工程だけが残ります。ワーカーは担当工程のカンバンで自分のタスクだけを見て、作業を始めたら「作業中」、提出したら「レビュー待ち」にステータスを変えます。工程ごとに作業メモ・参考リンク・納品物の URL を書けるので、素材の置き場や成果物の受け渡しも工程の中で完結します。ステータスの遷移はガイドモードで、推奨順序は表示されますが、どの工程からでも変更できます。

ワーカーには自分の工程と同じ企画の工程の概要だけが見える

ワーカーが見られるのは、自分にアサインされた工程と、同じ企画内の他工程の概要(工程名・状態・順序)だけです。企画の詳細メモ、他メンバーの一覧やメールアドレス、ワークシートの設定、課金情報、自分が関与しない企画は見えません。前の節の情報開示範囲チェックリストのうち「見せない」とした項目は、ロールの設定でそのまま実現できます。

まずは 1 つのワークシートで、次の月の企画を並べてみてください。無料で始める(クレジットカード不要)。プランごとの違いは料金プランの比較で確認できます。

まとめ

複数の外注先で YouTube 動画を作るときは、3 つを先に決めます。工程(作業の区切りと日数)、ボール(ステータスごとに誰の番か)、情報開示範囲(外注先に見せる情報の線引き)です。進捗は企画 × 工程の 1 枚で追い、ステータス変更を進捗報告の代わりにすれば、連絡頻度を設計する必要がなくなります。発注時には、取引条件の明示項目に修正回数・素材の受け渡し・成果物の権利を加えた書面を残してください。

出典

ムビタスの機能に関する記述は 2026 年 9 月時点の仕様に基づきます。

最終更新: 2026年9月3日(初回公開: 2026年9月3日)

この記事を書いた人

ムビタス編集部

ムビタスを開発・運営しているチームです。YouTube 動画制作の進行管理と外注管理をテーマに発信しています。

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